漫画:ルサンチマン(全4巻)の感想

本作品は電波男の一節に出てきて、興味を持ったので4巻を読み終えました。
(ちなみに漫画の単行本を読んだのは半年以上ぶりです)

この物語は、"三十路のキモデブ"でモテないおっさんが、現実ではモテないのだから仮想世界でモテモテ状態を楽しもう(女の子は自分にゾッコンラブ&自分のかっこよかった高校時代の姿で生活)と考え、友人から紹介された仮想現実の恋愛ゲームにはまり、その中で出会った月子という幼女との恋愛を描いたもの。
また、既にその世界にはまりこんでいる友人(おっさん:女の子5人を従えている)の痛い姿、あまりにも人間の本能に素直すぎる二人、そして人間味溢れる登場人物たちにが見所です。

結論からすれば、偉大なる名作でした。ツボにはまり、面白く、そして痛かったです。

古今、人ではないものに恋をし、現実の女性とどちらを取るかを葛藤する作品はいくつもありました。それは妖精や人形との恋を描いた童話に始まり、大人臭さを加えていくとギャルゲーやエロゲーまで。それこそ幾千もの手法が試行されてます。
ところが、この物語で描かれる"仮想の女性との世界"は非常に新鮮で、これだけ素晴らしい世界であれば自分も仮想世界にはまってしまいそう、そういった危うさまで感じるほど魅力的で、かつうまく描いてました。

この漫画が"従来とひと味違った新鮮な名作"たり得ているのは、人間の欲望の描き方がわかりやすく、かつ切実なものであったからかと。
ぶっちゃけ言えば、この絶妙なエロのさじ加減。現代社会のモテない人間の"自制心"と"願望"のバランスが絶妙に描かれており、この"自制心"が少し強ければよくあるギャルゲー、"願望"が少し強ければよくあるエロゲーに転んでました。正直、やっていることはエロゲーと同じですので。

この物語の終わった後に感じるものは、よくある名作ギャルゲーに近いものがありましたが、それに至るまでの過程がどう転ぶのかわからずハラハラし、また大衆向け(非18禁)漫画のリミットを軽く超越した展開に果てしない驚きとわくわく感を感じました。
特に終盤の、仮想世界と現実世界、どちらの女性を選ぶべきかの板挟みになる展開にコップさんは一体感を感じました。そして甘すぎない結末。

非常に人を選び、痛々しいまでに本能に素直な作品であるためお薦め度は高くないもののコップ的には"超優良"の評価です。興味があればぜひ一読あれ。

※それにしても近頃の青年向け漫画雑誌はエロ描写を描かなければ、こんなこともしていいんですね....。コップさんカルチャーショックでつ...。